ー 豆腐について ー
豆腐の原料・作り方
How to make Tofu
「畑の肉」と言われるほど
豊富なたんぱく質を含む豆腐
大豆は肉や魚に匹敵する高たんぱくを含んだ植物です。大豆のたんぱく質は必須アミノ酸のバランスが良い良質なものと言えます。まさに「大豆は畑の肉である。」
作り方の違いでできる
もめん豆腐と絹ごし豆腐
「もめん」は布を敷いた穴のあいた箱で重しをし、
水を切りながら固める素朴な風合いが持ち味。
「きぬごし」は箱に穴もなく、布も重しも置かずに
固めきめこまやかに仕上げます。
もめんときぬの違い
舌触りのほかに、栄養素の量にも違いのある二種類
の豆腐。料理によって、また好みによって食べ分け
られることは豆腐の魅力の一つかもしれません。
おいしさは水で決まる。
豆腐作りでも大切な水。
豆腐の90パーセントをしめる水、「豆腐の命は水」
です。むかしから豆腐がおいしいと評判の京都の水は
軟水。軟水は豆腐作りに最適な美味しい水です。
水は豆腐の命
日本に多い軟水は、豆腐のほかにお茶やだしも、よ
り美味しくします。日本料理の基本は、ミネラルの
少ない軟水によって生み出されたといえるのです。
水を抜いて固める
堅豆腐
豆腐の中には歯を痛めるくらい堅いものがあります。
有名な「高野豆腐」以外にひもで縛れるくらい堅い豆
腐も有れば、かつお節のようにガリガリ削れるほどの
ものもあります。
豆腐を美しく保存する
豆腐はとても繊細です。翌朝までに食べるときはき
れいな水に入れ冷蔵庫の下のほうに、二日くらい保
存するならば一度湯通ししてから冷やしておきま
しょう。
豆腐に欠かせない380粒の大豆
豆腐1丁に大豆はどれくらい使われているのか?昔か
ら「豆腐1丁380粒」と言われますが、実は豆腐1丁
の大きさは地域差があるのでこれは正確な数字とは言
えないようです。
たんぱく質のスポンジに
水分がたっぷりの豆腐
豆腐の大半をしめる水分は一体豆腐のどこにあるの
でしょう。網目状になっているたんぱく質の中に
たっぷりの水が含まれています、それはまるで水を
含んだスポンジのようです。
大豆の素晴らしさを
美味しく食べる知恵
栄養たっぷり大豆にも、青臭い・食物繊維が消化され
にくいという欠点があります。豆腐はその欠点を解消
し、おいしく大豆の栄養を無駄なく食べる知恵がつ
まっているのです。
「大豆は畑の肉である」
豆腐の原料である大豆は、植物性たんぱく源として、近年ますます注目されています。「大豆は畑の肉である」といったのは、
オーストリアの学者・ハーベルランドでした。1873年にウィーンで開かれた万国博覧会に日本と中国が出品した大豆の
成分を分析したところ、肉に匹敵する高たんぱくの植物であることがわかって、当時の西洋の学者たちを驚かせたのです。
大豆と肉と栄養価を比較してみましょう。
大豆はたんぱく質を100g中に35.3gも含んで、植物の中ではトップクラスの優等生です。もめん豆腐では100g中6.6gですか
ら、豆腐一丁(約300g)に換算すると19.8gとなります。一方、動物性食品では、あじが20.7g、豚ロース19.3g、牛肉16g。
このデータを見ても、大豆が豊富なたんぱく質を含んだ食材であることがよくわかります。
さらに良質なたんぱく質であるかどうかは、アミノ酸をバランスよく含んでいるかどうかが重要なポイントになります。
大豆の場合は、この必須アミノ酸のバランスがとてもよく、体内で効率よく利用することができます。
成人にとって1日のたんぱく質の所用量は55~70g。大豆の代表的加工品である豆腐は、
1日2分の1丁ぐらいを目安に
いただききたいものです。
毎日の食卓にのぼる豆腐には、もめん豆腐ときぬごし豆腐の2種類があります。「もめん」と「きぬ」という名前から、豆乳をこす布袋の違いなどに 名前の由来があると思われがちですが、それはまったくの誤解。2つの豆腐の違いは、作り方の相違にあります。
「もめん」と「きぬ」
水にひたしてやわらかくした大豆に、水を加えながらすりつぶしたものを「呉」といいます。豆腐はこの「呉」をこして豆乳にし、にがりなどの凝固財などで
固めたもので、この原理は2つの豆腐ともに同じです。
もめん豆腐は豆乳ににがりを加えてある程度固めた凝固物を、あらかじめもめんの布を敷いた三方に穴のあいた箱型に流しこんで、このと
き、箱型にふきんをしきつめます。豆乳を流し入れたら重しをし、水分を切りながら固めていきます。この箱型に敷いてある
もめんの布目がそのままついたものが、もめん豆腐の特徴です。
一方、きぬごし豆腐には、箱型に穴がなく、重しも置かず、布を敷きつめることもありません。きぬごし豆腐は、豆乳自体を箱型に流し入れ、
そこに凝固剤を入れて固めます。こうした製法のために、きぬごし豆腐の豆乳は、もめん豆腐の場合よりも濃厚なものを使うのが特徴です。
もめん豆腐は断面が不均一で、舌ざわりが粗い感じがしますが、素朴な風味があり、しっかりした食感があります。一方、きぬごし豆腐のほうは、
もめんに比べるとなめらかできめ細かく美しいところから「もめん」に対して「きぬごし」と名付けられました。
たんぱく質の含有量は、もめん豆腐のほうが若干ですが多いというデータが出ています。これは、きぬごし豆腐は水分が多い分だけ、
たんぱく質が少なくなっているからです。しかし、きぬごしは、ビタミンB1やB2などの水溶性のビタミンを多めに含んでいるが特長です。
口当たりやのどごしのよさで、きぬごしは冷や奴や湯豆腐に最適といえますが、これも好みの問題。
きぬ豆腐は、きぬの布で豆乳をこして作ったもの。もめん豆腐はもめんの布でこしたものと誤解していませんか?
しかし本当は、食べたときの舌ざわりが違うために、きぬともめんと呼ばれるようになったというのが正解です。その違いを生み出すのは、
豆腐の製造工程です。実際にその工程を見てみましょう。
「もめん」と「きぬ」の製造工程
もめん豆腐は、豆乳に凝固剤を加えて一度固めたものをくずしてから、圧力をかけて水分をしぼり、再び固めたものです。一方きぬ豆腐は、もめん豆腐よりも濃い豆乳に凝固剤を加えて、そのまま固めて作ったものです。
もめんときぬの違いは舌触りだけではありません。含まれる栄養の量にも違いがあります。もめん豆腐は、製造過程で水分をしぼるために、栄養分が圧縮されます。そのため、たんぱく質、カルシウム、鉄分が、きぬ豆腐に比べると2、3割多く含まれています。
しかし、水分をしぼることによって、ビタミンB類やカリウムが水分と一緒に流れ出してしまいます。このため、ビタミンB、カリウムは きぬ豆腐の方に多く含まれています。
ところで、このようにもめんときぬ、2種類の豆腐があることで、料理に幅が生まれます。焼いたり、炒めたり、煮たり、揚げたりする際には、 しっかりとした固さがあるもめん豆腐がピッタリです。
一方、冷や奴やサラダなど、豆腐そのものの食感を楽しむときには、きぬ豆腐の方がいいようです。もっとも、冷や奴には「もめん豆腐がいい」という方もいるはずです。自分の好みに応じて、2種類の豆腐を食べわけられることも魅力のひとつなのかもしれません。
きぬ豆腐のような柔らかい豆腐が生まれたのは、江戸時代の中期と言われます。そのために、製造法の工夫もされてきました。豆腐の歴史は、 より柔らかくて舌触りのいいものを求める歴史だったと言えるのです。
うまい酒のあるところ、必ず、うまい水があるといわれるほど、酒づくりは水が命です。うまい酒のあるところ、必ず、おいしい漬物があるともいわれています。そこには、やはりうまい水があるというわけです。
同じように豆腐づくりにも、この「水」が重要で、「豆腐の命は水」とされています。どうやら、よい水を探すとうまいものが生まれてくるのは、自然の摂理のようです。
「京都の水」
むかしから京都の豆腐はおいしいと評判でした。明治の食通が、わざわざ京都から東京まで水を運んで豆腐を作ったというエピソードが残るほど、「水」は重要な鍵をにぎっています。豆腐の90パーセントは水でできていますから、水が命であることは、いまさらでもありません。
京都の水がおいしいのは、軟水だからだといわれています。銀閣寺の相君泉や加茂別雷神社の井戸水、あるいは岩清水八幡の供御の水などは、むかしから「霊泉」や「霊水」といわれ崇められ、おいしいと評判をとってきました。
この軟水が、豆腐づくりや料理には、とても最適なのです。カルシウムとマグネシウムの含有量を数値化したものを硬度といいますが、軟水とは硬度が100以下の水のこと。軟水は、ミネラル分が少ないためにクセがなく、日本人には飲みやすいのが特徴です。
奈良で盛んだった豆腐づくりが、しだいに京都に移って行った背景には、京都の水が良質だったために豆腐づくりにはうってつけだったからと考えられます。
一方、酒づくりには、ミネラルを多く含んだ硬水が適しています。発酵の際にカルシウム塩やマグネシウム塩が酵母菌に作用して、発酵を促すからです。
昔の豆腐づくりは、井戸水を使っていましたが、現在は保健所の規制などで、なかなか井戸水を直接に使用することはできません。おいしい豆腐をつくるには、大豆へのこだわりとともに、こうした水へのこだわりがあるのも忘れてはなりません。
豆腐の80パーセント以上は水分です。このためいい水を使うことが、美味しい豆腐を作るための秘訣なのです。
「水にとけ込んでいるミネラル」
ところで、水の中には、いろいろなミネラル分がとけ込んでいます。とけ込んでいるミネラルによっては水の性質が微妙に違ってきます。
このため、豆腐の味にも影響が出てしまうのです。
特に、水に含まれているカルシウムとマグネシウムの量はポイントのひとつです。ちなみに、カルシウムやマグネシウムがたくさん含まれている水は「硬水」と呼ばれます。一方、あまり含まれていない水は「軟水」と呼ばれます。
豆腐づくりの原料として硬水を使うと、水の中のカルシウムと大豆のたんぱく質が結合して、豆腐が固くなってしまうのです。
そのため、豆腐づくりに向いている水は、ミネラル分をあまり含まない軟水なのです。
ヨーロッパの水はミネラルを多く含んだ硬水であることが多いのですが、日本の水は軟水であることが多いようです。豆腐は、まさに日本の風土が生み出した食材だと言えるのです。軟水のメリットは他にもあります。
たとえばだしを作るときの水は軟水の方が適しています。硬度の高い水を使うと、ダシのうまみ成分が水中のカルシウムと結びついて「あく」になってしまいます。つまり、せっかくのうまみ成分を引き出すことができないのです。
また、日本茶を入れるのに硬水を使うと、お茶に含まれているタンニンがうまく抽出されず、本来のお茶の味を楽しめなくなってしまいます。
日本料理の基本であるだし、日本料理の食材として幅広く使われる豆腐、食後に欠かせない日本茶。どれも、日本の軟水があるからこそおいしくいただけるのです。
「堅豆腐」
「豆腐に鎹」「豆腐で歯を痛める」とは、豆腐が柔らかいことからできたことわざですが、豆腐のなかには歯を痛めるくらい堅いものもあります。
有名なのが高野豆腐。もとは高野山の宿坊で作られていたもので、「凍り豆腐」「凍み豆腐」とも呼ばれるとおり、昔は冬の戸外で豆腐を凍らせて乾燥させました。高野豆腐は湯で戻してから調理しますが、堅いまま使われるのが、山形県月山の六条豆腐です。六条とは京の六条のことですが、羽黒山の修験者が、月山の農家の人に作り方を教えたという伝説があります。豆腐に塩を塗って堅くなるまで干し、カチカチになったものをかつお節のように削って、吸い物や酢の物に入れます。かつお節とは違って殺生をしていないことから、精進節とも呼ばれました。これはどこではなくても、ひもで縛れるくらい堅い豆腐は各地にあります。
合掌造りの民家で知られる富山県五箇山では、歯ごたえのある堅豆腐が作られています。古くは、畑でとれた大豆を原料に作る自家製のものでした。豆腐を固めるときに、半日くらい重しをしておくことで水が抜け、固い豆腐ができあがります。五箇山田楽は、豆腐のコクと焼けたみその風味が格別です。熊本県の五木地方に伝わる五木豆腐もまた、水分少な目のコクのある堅豆腐です。しかし、作るのに手間がかかるため、製造している店は少なくなってしまいました。沖縄ではポピュラーな島豆腐も、堅豆腐のひとつです。重しをして押し固めることで、1丁1kgのずっしりとした豆腐ができあがります。これらの堅豆腐はくずれにくいので、煮物や炒めものに適しています。
中国では今も堅豆腐が主流ですが、京都黄檗山、万福寺の「豆腐羹(とうふかん)」は、明の禅僧、隠元が中国風の堅豆腐の作り方を伝えたものといわれています。堅く作った豆腐は、日もちするよう醤油に浸けられ、味付けされているところが、ほかの堅豆腐と違う点です。
「おいしい『食べ時』」
豆腐はとても繊細な食品です。食べ慣れているのでかえって気づかないことが多いのですが、時がたつにつれて豆腐の風味は失われてしまいます。
できあがった豆腐は、1時間かけて冷やされ、さらに3時間ほどで絞まってきます。実はこの、できあがっておよそ4時間後が、豆腐の一番おいしい「食べ時」なのです。その後4時間ほどは新鮮な風味が持続しますが、出来上がり8時間後くらいから香りが失せはじめます。ということは、その日の新しい豆腐を昼に食べるのが、一番贅沢な豆腐の味わい方なのですが、これは残念ながら、現代のライフスタイルには合いません。それならせめて、豆腐をおいしく保存する方法を知っておきたいものです。
「おいしく保存する方法」
買ってきた豆腐をその日のうち、あるいは翌朝食べるときは、使うときまできれいな水に入れて、冷蔵庫の野菜室など、下のほうに保存します。豆腐は凍ってしまうと、「す」が入ったのと同じ状態になってしまうので、冷えすぎる場所はさけることです。ほかの食品の臭いが移らないように、ラップをかけておくことも常識です。パックに入ったものも、容器の底にアクがたまりやすいので、パックから取り出したほうがいいでしょう。
2日くらい保存するのであれば、一度湯通ししてから冷やしておきます。上手に湯通しするコツは、豆腐をふきんにくるむことです。煮立った湯の中にふきんでくるんだ豆腐を入れ、ふたたび湯が沸騰しだしたらふきんごと取り出し、水で冷やします。こうすれば、豆腐がくずれる心配はありません。パック入りのものは、パックごと熱湯に1〜2分浸けるか、電子レンジで1分加熱します。熱を加えたあとは十分冷ましてから冷蔵庫に入れ、水は毎日取り替え、清浄にしておきましょう。一度熱を加えておけば、冬なら3日くらいは保存できますが、消費期限が明記されたものは、期限内に食べてください。
30〜50代の成人男女に「からだによい食品は何?」とアンケートをとったところ、1位の緑黄色野菜につづいて第2位に上げられたのが大豆製品です。大豆に含まれる栄養素が、ガンなどの生活習慣病を予防する働きを多くの人が認めている結果なのでしょう。大豆には良質なたんぱく質のほかに、サポニンや植物繊維、レシチン、リノール酸、大豆オリゴ糖などの有効成分があります。大豆一粒一粒に秘められたパワーは誰もが認めるところです。ところで、豆腐一丁に大豆はどれくらい使われているのでしょうか。
「一丁380粒」
むかしから豆腐業界では、「一丁380粒」といわれてきました。もちろん正確な数字ではありません。大豆一粒の重さを約0.3gで計算すると114gになります。ただし、大豆がそのまま豆腐になるのではなく、水を加えたり、こしたりするので、実際はもっと少ない量になる計算です。
また、豆腐一丁の大きさは、核家族の多い都市では小さく、家族の多い地方にいくほど、大きくなる傾向があります。ある地域では、一丁のサイズは基準を設けているのですが、これはあくまでも標準で、規格ではありません。たとえば、東京では300g、千葉では340gと微妙な差があります。大家族の多い沖縄では、なんと1kgを超えるジャンボ豆腐があるほどです。
昭和53年、経済企画庁の調べによると、国民一人が1年間に食べる豆腐は約24丁。家族4人の平均的な家庭なら、週に一度食卓に豆腐料理が出されていることになります。豆腐のために支出する金額は、年間一人あたり1,957円、4人家族なら7,904円です。
また、全国平均を100とした場合、都市部では102.2、地方だと90.2となり、都市部のほうが豆腐を食べていることになります。最近では、大豆の香りと味がしっかり残ったおぼろ豆腐、寄せ豆腐やざる豆腐など、お値段が高めの豆腐も人気を集めています。
「豆腐のほとんどが水?」
もめん豆腐86.8%、きぬごし豆腐89.4%。これは豆腐の水分含有率です。まさに、豆腐の約90パーセントは水。これが、口あたりのやわらかさの要因になっています。豆腐のほとんどが水分ならば、いったいその水はどこにはあるのだろうかと、素朴な疑問がわいてきます。
そこで電子顕微鏡で豆腐をのぞいてましょう。顕微鏡で見るミクロの世界では、細かい網状のものが見えてきます。実は、これが大豆たんぱく質なのです。豆腐はたんぱく質の粒子が互いに結びあって、海綿のように網をつくっている食品です。
そのたんぱく質の網目のところどころについているのが脂肪になります。豆腐の成分を分析すると、水分のほかに、たんぱく質6.8〜5.0%、脂肪5.0〜3.3%となり、脂肪はたんぱく質についで多い栄養成分です。
それでは、肝心の水はどこにあるのでしょうか。実は水分は、網の目の中に含まれています。水を含んだスポンジを想像してもらえばいいでしょうか。この網の目にたっぷりの水が含まれているわけです。豆腐を料理する際の水切りは、豆腐に適度な重しをかけて行います。これはちょうどスポンジを絞るのと同じ原理なのです。
豆腐発祥の地・中国には軟らかい豆腐と硬い豆腐がありますが、豆腐を炒めたり揚げたりする料理法が主流のために、豆腐は日本のものよりも水分が少なく、硬めになっています。
一方、日本人は豆腐そのもののうまみを追い求めてきた部分があり、それが冷や奴や湯豆腐によく表われています。ですから、水分たっぷりの豆腐は日本ならではのもの。元気なときはもちろん、食欲がないときやサッパリした食感がほしいときには、まさに豆腐はうってつけです。これも水分たっぷりの食材であるおかげといえます。
大豆には、100グラムあたり35グラムほどのたんぱく質が含まれています。昔から「畑の肉」と呼ばれ、肉や魚のたんぱく源を口にする機会が少なかった私たちの祖先の健康を支えてきたのです。
しかし生の大豆には、独特の青臭さがあります。また、植物繊維が消化されにくいという欠点があります。豆腐は、こうした大豆の欠点を解消して、おいしく大豆を食べる知恵なのです。
「豆腐の作り方」
豆腐づくりはまず原料の大豆を水につけることから始まります。水を吸ってふくらんだ大豆をすりつぶし、それを煮た後でこします。この時にできるのが「豆乳」です。ちなみに、豆乳をしぼった後のかすが「おから」です。豆乳に凝固剤を加えて固めれば豆腐の完成です。
大豆をすりつぶすことで、固い組織をこわし、こすことで余計な繊維を取り除くことができます。そのおかげで、消化吸収が大変良くなるのです。実際、豆腐を食べたときのたんぱく質の消化吸収率は95パーセントと言われます。豆腐は、無駄なくたんぱく質をとれる、大変優れた食品なのです。また製造過程で熱を加えることで、大豆の青臭さも取り除くことができます。
ところで、江戸時代の文献によると、豆乳を作る前に加熱する方法(「加熱しぼり」)で豆腐が作られていたことがわかります。同じ頃、中国では豆乳をしぼった後で熱を加える方法(「生しぼり」)で作られていました。
2つの方法のうち、「加熱しぼり」の方が大豆のたんぱく質を無駄なくしぼり出せます。また、大豆をすりつぶすと、含まれている油分が酸素によって急速に酸化してしまいます。これを防ぐためにも、「加熱しぼり」が有効なのです。
シンプルな豆腐の中には、大豆の栄養を無駄なく食べる知恵がつまっているのです。