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馬琴が評した京の豆腐料理屋

京の有名な「祇園豆腐」

江戸時代、京で最も有名だったのが祇園豆腐です。当時、八坂神社に2軒の茶屋があり、そこで豆腐の田楽を出していました。茶屋は鳥居の左右に分かれ、西側にあったのが「藤屋」、東側が「中村屋」といい、この2つの店から「二軒茶屋」と呼ばれていました。京を訪れた旅人が八坂神社に参拝した際には、必ずこの店の田楽を食べたという話です。

田楽はふつう、豆腐に1本の串を刺して、囲炉裏の灰に立てて焼きますが、二軒茶屋では串を2本刺し、うなぎの蒲焼きのように横にして焼きました。焼き上がった豆腐に白みそをつけるのがいかにも京都風です。豆腐の味や白みその風味も評判ではありましたが、旅人はめずらしい2本串に京の風情を感じ、「祇園豆腐」の名で呼ぶようになりました。祇園豆腐は、仲居が見せた豆腐の曲切りも名物になっていたようです。西の藤屋は明治末までで店を閉めましたが、東の中村屋は「中村楼」と名前を変えて、今でも営業しています。

京の味として有名な南禅寺の湯豆腐は、大盗賊石川五右衛門が手をかざし、「絶景かな、絶景かな」といった寺の山門の左手にあります。こちらも江戸時代、京を訪れる旅人に好まれました。江戸から長崎まで旅をした蜀山人の号をもつ文人、大田南畝も、京名物としてここの湯豆腐をあげています。

さて、豆腐料理は江戸よりも京のほうが有名だったのですが、『南総里見八犬伝』を書いた戯作者の滝沢馬琴は、南禅寺の湯豆腐を評して、「南禅寺豆腐は江戸の淡雪におとれり」とけなしました。また、祇園豆腐と江戸、真崎稲荷の甲子屋の田楽をくらべ、「祇園豆腐は真崎の田楽におよばず」といっています。江戸びいきの馬琴ならではの評価ですが、馬琴は豆腐の味というよりも、白みそが気に入らなかったようです。その馬琴も、京の料理屋の造りと、店内の雰囲気の良さには感心したようで、「そのきれいなこと江戸のおよぶところにあらず」とたいへんほめています。

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